構造設計

2021年11月22日 (月)

基礎の基礎

豊浦の家では基礎工事が完了しています。

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いよいよ今月末に上棟となります。


基礎の役割というと、「建物を支える」ということは誰でもわかると思います。

もう一つ重要な役割として、外力(地震や風)が作用した時に屋根から土台まで流れてきた力をしっかり地盤に伝えることがあります。

地盤までしっかり力を伝えるためには、基礎が途中で切れることなく構造区画されている必要があります。
これは、布基礎・べた基礎両方に言えることです。

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途切れることなく連続して区画された基礎配筋

基礎が構造区画の途中で切れていると、流れてきた力もそこで止まってしまい、しっかり地盤まで力を伝えることができません。

床下メンテナンス時に人が通れるように設けた人通口なども地中梁でつなぐ等、しっかり連続させます。

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また、基礎にかかる力は基礎全体に均等にかかるわけではなく、柱や壁の位置(=間取り)に応じて大きくかかる場所とそれほどかからない場所ができます。

大きくかかる場所は、ベースの幅を広げたり鉄筋の本数を増やす等の対策が必要となります。

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基礎のベース幅は基本600mmで大きく力がかかる場所は750mm


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上端と下端の鉄筋を2本に補強した場所


基礎をどれくらい強くすればよいかは、力を伝える地盤の強さが分からないと決められないため、地盤調査を行い、地盤改良をする場合はどのくらいの地盤の強さ(地耐力)にするかを決めて地盤改良を行います。

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豊浦の家は地耐力35kN/㎡になるように地盤改良を行い基礎設計を行っている

2021年6月 3日 (木)

基礎を考える

木造住宅の基礎には大きく分けて、ベタ基礎と布基礎があります。

ここでよく出るのが「どっちが強いの?」という疑問です。

ひと昔前(阪神淡路大震災後)からベタ基礎が急速普及して、ハウスメーカーやビルダーのセールストークで「ベタ基礎の方が強い」というイメージが浸透しました。

ベタ基礎の方が底盤全体の「面」で家を支えるので、ベース面だけの「点」で支える布基礎より強いという理屈ですが、これはこれで間違いではありません。

Beta
「面」で支えるベタ基礎

Nuno
「点」で支える布基礎

しかし、これは地盤の強さが全く同じという条件でのみ言えることです。

通常、家を建てるにあたり地盤調査を行い地盤の強さを調べます。

そのうえで、地盤が弱ければ地盤改良工事をするわけですが、改良によって地盤の強さ(地耐力)を具体的にどれくらいにするかを考え、その地耐力に対して基礎を設計すればベタ基礎でも布基礎でもどちらでも全く問題ありません。

具体的に現在構造計算中の物件を例に見てみましょう。

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こちらの家は、耐震等級2(積雪1.3m考慮)、基礎形状は布基礎で地耐力は35kN/㎡という前提で構造設計をしています。

 

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なので、地耐力が35kN/㎡以上になるように地盤改良工事を行えばこの基礎は構造上安全となります。

このように、布基礎でも地盤改良とセットで考えることで強い基礎にすることは可能です。


地盤の強さである地耐力を無視して、基礎単体で強いとか弱いということは全く意味のないことなのです。

2021年4月22日 (木)

柱直下率とウッドショック

構造計画において、柱直下率というものがあります。

内容はとても簡単で、2階の柱の下に1階の柱がどれくらいあるかを表します。

2階の柱の下すべてに1階の柱があれば、柱直下率は100%となります。

しかし、それは1階と2階の柱の位置が全部一致することを意味しますので、間取りはかなり制限を受けることになります。

なので、一般的に柱直下率は50%以上が推奨とされています。

そもそもなぜ上下の柱の位置を揃える必要があるかですが、地震力は原則上(屋根)から下(基礎)へと流れます。

その力が伝わる経路が柱や梁となるため、上下の柱が揃っていればいるほど力の流れは単純になるというわけです。

上下の柱が揃っていないと2階の柱から梁を経由して1階の柱へと力が伝わります。

その力が大きければ大きい程、梁は大きくする必要があります。

つまり、柱の直下率が悪いと梁の負担が大きくなり、結果として梁が大きくなるというわけです。


具体的に現在構造設計中の物件を例に見てみます。

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許容応力度計算で耐震等級2(積雪1.4m考慮)を予定。ちなみに柱直下率は70%くらい。

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このように2階の柱の下にきっちり柱があれば、梁の大きさは150mm程度で大丈夫ですが

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下に柱が少ない場合梁の大きさは240mm程度必要となります。

当然ですが、同じスパンの梁でも大きい梁の方が金額は高くなるため、柱直下率の悪い建物は経済性も悪くなります。

現在、日本ではウッドショックと呼ばれる木材不足が起きています。

コロナウイルスの蔓延が引き金となり、様々な要因が重なって世界的に木材が不足している状態で、そのため木材の金額も高騰しています。

まだまだ先がみえませんが、今まで以上に経済的な構造設計が必要となりそうです。

2020年10月10日 (土)

設備計画と構造計画

亀田の家に採用している換気システムは、ダクト式全熱交換型の第1種換気です。

 

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換気システム本体の交換が簡単にできるような工夫がしてあるが、それはまた次の機会に

 

 

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2020年10月 8日 (木)

窓を考える

家にとって窓は外部と内部をつなぎ、光や風や景色を取り込む唯一の装置です。

それ故に、家の良し悪しは窓で決まるといっても過言ではありません。

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窓について、先日上棟した亀田の家を例に考えてみたいと思います。

 

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2020年8月17日 (月)

亀田の長期優良住宅/基礎配筋

亀田の長期優良住宅の基礎配筋が完了しました。

 

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