日記・コラム・つぶやき

2022年8月24日 (水)

我が家の年間冷暖房費

昨年の12月から高性能住宅(UA値0.31・C値0.3)に住み始めて、冬~夏を暮らしてみてざっくり今年の冷暖房費が見えてきました。

今年1年間(2022年1月~12月)でおおよそ7万円くらいになりそうです。

吹抜を入れて延床35坪の家を一日を通して、冬は家中を20~22℃、夏は家中を26~28℃(湿度は50%前後をキープ)になるような冷暖房をしての金額です。

Img_5041
暖房はパネルヒーター(熱源都市ガス)

Img_6187_20220824151601
冷房は6畳用エアコン1台

設計時に目標としたのは、夏も冬も家の中で温度差がなく、暑さ・寒さを感じない環境を一般的な光熱費で実現することです。

設計時の年間冷暖房費は6万円くらいを想定していましたが、昨今の電気・ガスの値上がりを考慮すると、ほぼほぼ想定通りの金額です。(当時はまさかこんなに上がるとは思ってませんでした泣)

結果は大成功だったと言っていいでしょう。

ちなみに、冷房は室温よりも湿度を下げることを意識していたので、冷房費は若干高めとなっています。(雨の日は再熱除湿を積極的に使用)

湿度を意識しなければ、もう5,000円~10,000円くらいは安くなると思います。

住みながら心がけていることは、「快適に暮らす」ことです。

1年目は光熱費よりも快適性を優先させて、どれくらいエネルギーを使うかを見てみて、2年目はその結果を踏まえて工夫できるところは改善していこうと思います。

湿度50%はやりすぎた感があるので、来年はもう少し高めでもいいかなと思います。

2022年8月11日 (木)

再熱除湿

梅雨時期の「暑くはないけど湿度は高い」時は、エアコンの冷房運転で湿度を下げようとすると室温が下がりすぎてしまうため快適性は得られません。

そんな時に有効なのがエアコンの「再熱除湿」運転です。

再熱除湿は読んで字のごとく、一度冷やして除湿した空気を再び温めて送風する除湿方法です。

再熱除湿であれば除湿するためにエアコン内で冷やされた空気は室温と同じくらいに温められて出てくるので、室温を下げることなく湿度だけを下げることが可能となります。

Air_a41_003

そのため梅雨の時期でも高温低湿の極めて快適な室内環境をつくることができます。

しかしながら、この再熱除湿機能がついたエアコンは減少の一途をたどっていて、再熱除湿は絶滅の危機に瀕しています。

その理由は、一度冷やした空気を再度温めることが省エネに反しているとエアコンメーカー側が考えているからです。

確かに冷房運転よりも再熱除湿運転の方が消費電力は多くなりますが(拙宅の場合、冷房運転の2~3割増しくらい)、得られる快適性には大いに価値があると思います。

再熱除湿によって得られるメリットは、かかるコスト以上あると個人的には思いますので、エアコンを選ぶ時は再熱除湿ができるエアコンをおすすめします。

ちなみに、私は二酸化炭素の排出量の増加だけが地球温暖化の原因であるということには懐疑的なので、省エネよりも快適性を優先させています。

極端な話、地球温暖化を防ぐために熱中症やヒートショックで死ぬことを選択する人はいませんよね?(この辺の話はややこしいのでまた別の機会に・・・)


夏に湿度が低い暮らしをしていて気づいたことですが、湿度が低いと室内で発生するニオイも感じにくくなります。

不思議に思っていましたが、これは科学的な根拠があって、ニオイ分子は空気中に水蒸気が多いとが溜まりやすく、温度が高いほど揮発性が高くなる性質があるため、高温多湿となる夏の時期は室内で発生するニオイも強くなります。

201805090205_box_img1_a

湿度をおさえることで、図らずもニオイもおさえていたわけですね。


まだまだ暑い日が続きますが、温度だけでなく湿度も意識して快適な夏をお過ごしください。

2022年7月30日 (土)

エアコンの除湿について

前回の続きで、エアコンで湿度を下げる方法について。

まずエアコン冷房の仕組みですが、ヒートポンプによって冷やされた熱交換器に室内の空気を通過させることで空気を冷やし、それをファンによって拡散することで室温が下がります。

この時に熱交換器の中で冷やされた空気は、露点温度よりも下がるためエアコン内で結露して空気中の水分が取り除かれます。

冷房運転は室温を下げると同時に除湿も行っているわけですね。

Kl100802_20220730120001

しかし、室内が設定温度まで下がりきるとそれ以上室温を下げる必要がなくなるため、熱交換器が冷えなくなり(サーモオフ)エアコン内で結露が起こらなくなるので湿度も下がらなくなります。

冷房していて室温はちょうどよいのに湿度が高く蒸し暑く感じてしまう時は、このようなエアコン冷房の原理によります。

逆に湿度を下げることを優先すると、室温が下がりすぎて寒くなってしまうこともよくあります。

このことから、快適に湿度を下げるには、室温が下がりすぎない程度に熱交換器が冷え続ける状態にできればよいことがわかります。

そのためのポイントは
・冷房可能な範囲でできるだけ容量の小さいエアコンで冷房する
・家の中でもっとも暑くなりやすい場所にエアコンを設置する
・少し低めの設定温度(拙宅の場合24~26℃)で風量は最弱で運転する

こうすることでエアコンがサーモオフになりにくくなり、室温は下がりすぎずに湿度を下げることができるようになります。

家の気密・断熱性能や冷房面積に対してエアコンの容量が小さすぎると、単純に能力不足で冷房しきれないこともあるので、家の断熱性能などをしっかり把握した上でエアコンを選定することが重要です。

また、せっかく湿度を下げても外から湿度の高い空気が入ってきていたら意味がないので、家中のすべての窓(トイレやお風呂などの非居室も)を閉じて、24時間換気以外の不要な換気扇も止めて冷房する方がよいです。

以上の方法は、外の温度が室内より高い場合に有効ですが、梅雨時期のように温度はそこまで高くないけど湿度は高くジメジメする時は湿度を下げにくくなります。


そんな時に快適に湿度を下げる方法は・・・次回に続きます。

2022年7月24日 (日)

ブログ再開と湿度

しばらくお休みしていたブログを再開したいと思います。

更新頻度は仕事量(と精神状態)に左右されると思いますが、よろしければお付き合いいただけると幸いです。

・・・

さて、昨年の12月より自分で設計した家に住み始めて半年以上が過ぎましたが、このブログで高性能住宅(UA値0.31、C値0.2)の住み心地についてもレポートしていければと思います。


今回は湿度について。

拙宅の冷房計画は、階段を上がりきった2階のホールにエアコンを1台設置して、この1台のみを24時間連続運転して家中を冷房しています。

Img_6187

エアコンは一番容量の小さい6畳用エアコンです。

家の延べ床面積は吹抜けを入れて35坪程度なので、実に70畳の面積を10分の1以下の容量のエアコンで冷房していることになりますが、各所の温湿度計を見てみると

Img_6259
1階リビング 温度26.9℃ 湿度49%

Img_6257
2階寝室 温度26.0度 湿度49%

Img_6258
2階子供部屋 温度25.9度 湿度48%

Img_6260
1階トイレ 温度26.0 湿度51%

このようにしっかり家中冷房できています。

畳数だけ比べると魔法の様ですが、からくりは簡単で、畳数ではなく家の断熱・気密性能と冷房能力を鑑みてエアコンを選定しているから。

基本的に、家の断熱・気密性能が高ければ高いほどエアコンの容量は小さくすることができます。


今回注目いただきたい湿度は、家中をほぼ均一に50%程度の低湿度に保てているのが上の写真でわかります。

しかしながら、高温多湿となる日本の夏にこの空気を作り出すにはいろいろとテクニックが必要です。

そもそも低湿度にしている理由は、温度よりも湿度を下げた方が快適性が高いから。

温度27℃湿度70%の空気より、温度27℃湿度50%の空気の方がサラッとしているのは感覚的にわかるかと思いますが、このサラッと感がとても快適なのです。

湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり体温調整ができないため、熱中症のリスクもあがります。

それに夏に湿度が低ければカビが生えるリスクが大幅に減るため、お風呂掃除など家の手入れが楽になるというメリットもあります。

なので、夏は湿度が快適な住環境をつくる上でとても重要となります。


次回は湿度を下げるテクニックをご紹介できればと思います。

2021年7月27日 (火)

自然に触れて思う事

Img_3507
連休中に奥胎内の山に行ってきました。(夏は海より山派です)

たまに大自然に触れると、当たり前のことに気づかされます。

川の水は高いところから低いところに流れる、木陰は涼しいなど。
Img_3501

Img_3500

このような自然の摂理は、そのまま建築の技術に反映されています。

水の流れに逆らわない納まりや、日射遮蔽がそれにあたります。

真夏にエアコン冷房を使うことは非常に重要なことですが、日射がガンガンに入る中でエアコンをフル稼働という事には違和感を感じます。

エアコンも電気もない時代は、軒を深く出す、縁側を設けるなど建築的手法によって暑さを凌いでいました。

当然、現代においてもその手法は利用できるので、家自体の断熱性能や日射対策である程度の熱を防ぎ、足りない部分を電気で補うことが正解だと思います。

Img_3100

Img_3097

Img_3545

モデルハウスではこれでもかというくらい日射遮蔽を施し、家中冷房して終日25~26℃を保っていますが、一日の電気使用量は3~5kWhです。(お金に換算すると100円程度)


2021年7月21日 (水)

住宅省エネ25年度義務化?

本日の新潟日報の記事です。

Photo_20210721182301

2025年度以降、新築住宅の省エネ基準の義務化を目標にいよいよ国が動き出したようです。

本来は2020年に義務化される予定でしたが、これも「大人の事情」で見送られていました。

問題はどのレベルが基準となるかですね。

これから家を建てるのであれば、できる限り断熱性能は上げておくことをお勧めします。

現在は(国の基準では)最高とされているものが、数年後には最低以下になるからです。

今後断熱性能は、快適性や省エネ性だけでなく、家の価値にも大きく影響することになりそうです。

2021年7月16日 (金)

定期講習と気密性能

昨日、3年に1度の苦行建築士定期講習に行ってきました。

Img_3416
この教本を朝9時から夕方4時まで読み込んで、その後試験も受けて合格点をとらないと講習完了となりません(白目)

定期講習の目的は、しょっちゅう改正がある建築基準法等のアップデートが主となります。

それと、今回の講習では空き家問題についての内容が多かったです。

今後増え続ける空き家の問題について、建築士ができること考えてほしいということなのでしょう。

また、カーボンニュートラルな社会実現についての内容もありました。

エネルギーをたくさん使用しなくてもいいように、断熱を頑張りましょうという内容ですが、昔の講習ではさらっと流されていた部分がかなり詳しく説明されていました。

中でも、気密性能C値について具体的な数値が示されたのは初めてではないかと思います。(私の記憶なので、昔から示されていたかもしれませんが・・)

教本には
Img_3415

熱交換換気の省エネルギー性への期待が高まっているが、その効果を享受するためには、C値0.5c㎡/㎡程度の気密性能が必要と考えられ気密性能基準は廃止されたが、気密性能の重要性は変わらない

とあります。

換気設備をしっかり機能させるには気密性能が良くないとダメで、C値0.5は必要だとはっきり書いてますね。

しかしながら、その後の「気密性能基準は廃止されたが、気密性能の重要性は変わらない」という文章はおかしいと思いませんか?

重要なら廃止にしないはず・・・ここには所謂大人の事情があるのです。

それはずばり「C値は○○以下」なんて基準が義務化されたらほとんどの家が建たなくなるからです。

そもそも日本の新築住宅の大半は気密測定試験すらしていません。

なので、こんな基準があったら困るわけですね。造る側が。


当社では、原則全棟気密測定試験を実施してC値0.5以下を基本性能としています。
67877d4dd397497eaed6535a81a622e7

A123d3af09e14780aa18171f55d3e9bf

2021年4月15日 (木)

雑誌撮影と床下エアコン

先日、昨年末にお引渡ししました亀田の家にてハウジングこまちさんの撮影を行いました。

Img_2867


続きを読む "雑誌撮影と床下エアコン" »

2021年3月11日 (木)

服も家も

昨年から使用しているノースフェイスのマウンテンジャケット。
Img_2391

このジャケットに使用されているゴアテックスという素材ですが、防水性と透湿性を兼ね備えています。(恥ずかしながら購入時に初めて知りました)

防水性は雨や雪といった外からの水分をはじき、透湿性は体から出る湿気を外に逃がします。
Goretex_schemaen

こうすることでジャケット内を快適な状態に保ちます。

住宅に使用される透湿防水シートによく似ていますね。
Img_01

マウンテンジャケットの内側には保温性を上げるためにフリースをドッキングさせていますが、フリースがグラスウール、ジャケットのゴアテックスが透湿防水シートと考えると住宅の断熱構造と全く同じ原理だということがわかります。
Img_2386
フリースの保温性能でとても暖かく、作業していると汗ばむくらいですが、ゴアテックスの透湿性能で蒸れることはありません。

さらに、このゴアテックスは洗濯することでその性能を維持することが可能で、自分で手入れをしながら長く使うことができます。

このジャケットを購入する時に、値段が想定していた予算よりもかなりオーバーしていたので大いに迷いましたが、店員さんから上記の内容を聞いた時に「これって自分がいつも言ってることじゃないか!」と気づき購入を決めました。

結果、その性能にとても満足していますし、買ってよかったと思います。

服も家と同じで、デザインや値段も大切ですが、性能面や「長く使えるのか」という点も重要だと気付かされたエピソードでした。

2021年2月26日 (金)

新しい波

再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースがYOUTUBEでライブ配信されました。

現在は下のアーカイブで見ることができます。



かなり専門的な内容ですが端的にまとめると、カーボンニュートラルな社会実現には現状の日本の住宅の断熱基準ではダメですよというものです。
特に37分頃からの東大の前先生の発表はわかりやすく、かなり突っ込んだ内容です。

この動画の内容から、今後よりいっそう新築住宅の高性能化が進むことが予想されます。

動画の中で、住宅におけるエネルギー消費量は新築時に固定化されるとありますが、まさにその通りで後から断熱性能を上げることは極めて難しいです。(難しい=コストが掛かるとお考えください)

当社でもリフォームで断熱改修の相談が多々ありますが、ほとんどの場合コスト面で断念されます。「キッチンの入れ替えのついでに」みたいな感覚で簡単に考えていらっしゃる方が多く、そのギャップにびっくりされます。

ですから、新築時に住設にかける費用を抑えてでも性能にコストをかける方が長い目で見れば正解だと言えます。住設は後で交換が容易ですから・・。

この動画に限らず、いまだかつてない住宅の高性能化の波が来ているように感じます。

少し前のお金が最優先のローコスト全盛時代は終わりを迎えました。

これからは、可能な限り高性能で質の高い住宅を建てる時代になります。

それが家族の幸せにつながり、ひいては日本の未来を明るくすることになるのだと思います。

より以前の記事一覧