柱直下率とウッドショック
構造計画において、柱直下率というものがあります。
内容はとても簡単で、2階の柱の下に1階の柱がどれくらいあるかを表します。
2階の柱の下すべてに1階の柱があれば、柱直下率は100%となります。
しかし、それは1階と2階の柱の位置が全部一致することを意味しますので、間取りはかなり制限を受けることになります。
なので、一般的に柱直下率は50%以上が推奨とされています。
そもそもなぜ上下の柱の位置を揃える必要があるかですが、地震力は原則上(屋根)から下(基礎)へと流れます。
その力が伝わる経路が柱や梁となるため、上下の柱が揃っていればいるほど力の流れは単純になるというわけです。
上下の柱が揃っていないと2階の柱から梁を経由して1階の柱へと力が伝わります。
その力が大きければ大きい程、梁は大きくする必要があります。
つまり、柱の直下率が悪いと梁の負担が大きくなり、結果として梁が大きくなるというわけです。
具体的に現在構造設計中の物件を例に見てみます。
許容応力度計算で耐震等級2(積雪1.4m考慮)を予定。ちなみに柱直下率は70%くらい。
このように2階の柱の下にきっちり柱があれば、梁の大きさは150mm程度で大丈夫ですが
下に柱が少ない場合梁の大きさは240mm程度必要となります。
当然ですが、同じスパンの梁でも大きい梁の方が金額は高くなるため、柱直下率の悪い建物は経済性も悪くなります。
現在、日本ではウッドショックと呼ばれる木材不足が起きています。
コロナウイルスの蔓延が引き金となり、様々な要因が重なって世界的に木材が不足している状態で、そのため木材の金額も高騰しています。
まだまだ先がみえませんが、今まで以上に経済的な構造設計が必要となりそうです。
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