断熱調査
窓はシングルガラスの二重サッシだが結露している。
天井裏や床下などを見せていただき、断熱材の施工状況を確認した結果、こちらのお家が寒い一番の原因は、断熱材が入ってはいるものの施工が悪く暖房していても壁の中が空気の通り道となっていて、暖気が全て天井裏に上がりそのまま外へと逃げているためでした。
壁の断熱材と天井の断熱材の間に隙間がある。
この隙間から暖気が全て小屋裏から外へと逃げてしまう。
断熱材は、空気が動かない状態でないと本来の断熱効果は得られません。
魔法瓶のお湯が、ふたをしていなければ冷めてしまうのと同じ原理です。
抜本的な解決には、壁を開き断熱材の入れ直しと気流止めの設置といった断熱改修が必要ですが、まだ新築して十数年ですから、そう簡単に大がかりな工事はしたくないとのこと。お気持ちはよくわかります。
相談者様「窓が単板ガラスだから、ペアガラスのサッシに換えたら改善するか?」
との事でしたが、室内の湿度が高いため、窓の性能だけ高くしてしまうと窓で結露できなくなる分相対湿度が上がり、壁や床に結露が起きる可能性があります。
変な話ですが、現状は窓が除湿機の代わりになっているわけです。
私「サッシの性能を上げることと同時に、お部屋の表面温度も結露しない程度に上げる必要があります。もったいないかもしれませんが、人がいないお部屋も結露が起こらない程度に暖房することをお勧めします。」
とアドバイスさせていただきました。
相談者様「暖房にパネルヒーターを入れたらどうか?」
とのご相談も受けましたが、パネルヒーターは40~50℃の低温水による暖房機であるため、家の断熱・気密性が高くないとうまく機能しません。
いつもお話しすることですが、暖房と断熱は一体に設計する必要があります。
極端な話、断熱が悪ければそれをカバーするだけの熱量で暖房(カロリーがとんでもなく高い薪ストーブをガンガンに炊くなど)すれば快適性は得られます。
しかし、それは安全面と経済面から考えれば現実的ではありませんよね。
近年では、エコポイントなど国の後押しもあって住宅の断熱性は上がりましたが、ほんの十年前は新築でもこのようなお家がたくさんあったんだなと改めて思い知らされました。
« ロング・ライフ・デザイン | トップページ | パネルヒーターの快適性 »
「高気密高断熱」カテゴリの記事
- 上棟と無暖房(2022.12.13)
- 富塚町の家完成(2022.09.05)
- 我が家の年間冷暖房費(2022.08.24)
- エアコンの除湿について(2022.07.30)
- ブログ再開と湿度(2022.07.24)
コメント