樹脂窓は結露しないか?
このお家では、窓に樹脂サッシ(外側も内側も樹脂)を採用しておりますが、よく見ると・・・
樹脂製の枠付近が結露しています。
「樹脂のサッシは結露しません」というセールストークを耳にしたことがある人は多いかと思いますが、ご覧のように条件によっては樹脂サッシでも結露します。
結露のメカニズムは、空気が冷やされて空気中の水蒸気が水となる現象ですから、湿度と温度の条件が揃えばどこにでも結露は起こります。
では結露する湿度と温度の関係はどのようになっているかというと、こちらの湿り空気線図によって読み解くことができます。
湿り空気線図。建築士の試験にも出ます。
例えば、湿度60%温度20℃の空気が結露となる温度(露点温度)は
上図のように約12℃と読み取ることができます。
樹脂のサッシはアルミサッシに比べれば熱を通しにくいですが、樹脂製の枠の部分はガラス面よりも熱を伝えやすいため表面温度は低くなります。
室温20℃の状態でガラス表面温度は19℃でも・・・
樹脂製の枠部分は15℃
ちなみに暖房している時のラ・クール富塚モデルハウスの温湿度は
室温20℃湿度40%ほどで、この空気を湿り空気線図で読み取ると
露点温度は約6℃なります。つまり樹脂枠の温度が6℃以下にならなければ結露は起きないわけです。
これがアルミサッシであれば、アルミの方が樹脂よりも熱伝導率が高い(熱を伝えやすい)ため、サッシ枠の表面温度はさらに低くなり結露する可能性が高くなります。
また、このグラフを逆に読み取ると15℃が露点温度となるのは温度が20℃で湿度が70%を超えた空気であることがわかります。
ということは、樹脂のサッシでも今の時期に室内の湿度が70%を超えると結露してしまうことがわかります。
次第浜の現場の場合、24時間換気がまだなく閉めきった状態で職人さん数人が作業していますので、人体から出る水蒸気で室内の湿度が上がり、一番低温となる樹脂枠付近で結露したというわけです。
24時間換気を止めて灯油の開放型ストーブを焚いたりすることは、湿度を必要以上に高くする原因となりますので避けなければいけません。
また、逆を言えばこのような温度と湿度の条件さえ守れば、アルミサッシでも結露は起こりません。
使う材料の性能も大事ですが、何よりも重要なのは正しい使い方をするということですね。
いつも申し上げることですが、建築は工学であり科学ですから根拠のない(=非科学的な)セールストークはしてはいけないと私は考えます。
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