断熱と暖房は一体に計画すべき
残暑も和らぎ過ごしやすい季節になりましたが、もう少ししたら寒い冬がやってきます。
寒くなれば当然暖房をするわけですが、最近よく間違った断熱と暖房の計画をしている話を耳にします。
タイトルにもありますように、断熱と暖房は一体に計画しなければいけません。
暖房機にはたくさんの種類があり、エアコン一つとっても機種によって暖房能力は様々です。
結論から申し上げると、その家の断熱性能に合わせた暖房機を選ばないと快適な室温にはなりません。
家の断熱性能を表す指標にQ値というものがありますが、Q値の単位はW/㎡Kで、Wは暖房エネルギー、㎡は床面積、K(ケルビン)は温度差を表しています。
例えば、Q値が2.7W/㎡K、床面積が120㎡の家の場合、外気が0℃で室内を20℃に保とうとすると
W=2.7×120×(20-0)=6,480
※簡略化のため、日射取得熱と室内発生熱及び換気による熱ロスは考慮しないものとする。
となり、6,480Wの暖房エネルギーが必要ということになります。
これよりも少ない暖房能力の暖房機では、20℃に保つことはできないということです。
当社に来るお客様の中で、他社さんで「今の家は断熱性能がいいから暖房はエアコンで十分!」と言われて、それを鵜呑みにしているケースがあります。
これは、本当に断熱性能が良くて大丈夫な場合と、断熱性能が不十分で大丈夫ではない場合がありますので、注意が必要です。
断熱と暖房の間違った計画の例として、蓄熱式暖房機が全盛の時に当社が完成見学会を行った際に聞いた、笑えないエピソードをご紹介します。
当社が見学会を行ったお家は、外張り断熱の家で断熱性能が高いため、蓄熱式暖房機1台とエアコン1台で家中を暖めていました。
そこに、近所の奥様がやって来て
「うちには蓄暖が3台もあるのにちっとも暖まらない!この家には1台しかないのに一体どうなっているの!?」
とおっしゃられました。
見学会を行った場所は、10区画ほどの分譲地であり、その奥様も少し前に某メーカーで建築されたそうです。
これは完全にそのメーカーの営業マンや、設計者の知識不足による悲しい結果ですね。
断熱と暖房の組み合わせを間違うと、このようなことになってしまいますので、くれぐれもご注意ください。
« 引き継いでいきたいもの | トップページ | 床鳴り止まるんです »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 我が家の年間冷暖房費(2022.08.24)
- 再熱除湿(2022.08.11)
- エアコンの除湿について(2022.07.30)
- ブログ再開と湿度(2022.07.24)
- 自然に触れて思う事(2021.07.27)
コメント