昨日のことですが、砂岡の大屋根住宅が上棟しました。
新潟のこの季節には珍しく天気にも恵まれ、順調に工事を進めることができました。
上棟おめでとうございます。
さて、こんな晴れた日の高性能住宅は、日射熱だけで室温が上がります。
昨日の拙宅では、午後9時の時点でも21℃以上あったので無暖房で過ごせました。
室温21.3℃、湿度52%
暖房の快適さにおいて最も重要なことは、表面温度だと思います。
床表面21.2℃
天井表面21.4℃
床表面温度も天井表面温度も室温と同じくらいになっているため、21℃程度でも十分に暖かさを感じます。
この表面温度が安定した暖かさは、エアコンの設定温度を上げて得られる暖かさよりも、より自然な暖かさ(この辺の表現が難しいですが)に感じます。
室内の表面温度を上げるには、断熱性能を上げることが最も効果的です。
富塚町の家をお引渡ししました。
畳コーナーのあるリビング。
畳コーナーの下は収納に。
キッチン→パントリー→脱衣兼ランドリールーム→浴室と家事動線を一直線に。
洗面台は玄関ホールに。帰ってきてすぐ手が洗えます。
2階ホールに物干スペースを。隣がウォークインクローゼットなので、干して、たたんで、仕舞う動線が最短に。
明り取りの室内窓は、施主様のアイデアでガラスブロックに。
長期優良住宅
耐震等級2(許容応力度計算・積雪1.3m考慮)
UA値:0.44
C値:0.4
諸事情により、こちらのお家は当社の常用ではない初めての大工さんに施工していただきました。
気密施工の経験が少ない大工さんでも、しっかり現場管理することで高い気密性能を出すことができました。
気密測定試験のようす
気密性能は、高価な材料を使えばよくなるわけでなく、しっかりとした気密施工と現場管理が大切です。
昨年の12月から高性能住宅(UA値0.31・C値0.3)に住み始めて、冬~夏を暮らしてみてざっくり今年の冷暖房費が見えてきました。
今年1年間(2022年1月~12月)でおおよそ7万円くらいになりそうです。
吹抜を入れて延床35坪の家を一日を通して、冬は家中を20~22℃、夏は家中を26~28℃(湿度は50%前後をキープ)になるような冷暖房をしての金額です。
暖房はパネルヒーター(熱源都市ガス)
冷房は6畳用エアコン1台
設計時に目標としたのは、夏も冬も家の中で温度差がなく、暑さ・寒さを感じない環境を一般的な光熱費で実現することです。
設計時の年間冷暖房費は6万円くらいを想定していましたが、昨今の電気・ガスの値上がりを考慮すると、ほぼほぼ想定通りの金額です。(当時はまさかこんなに上がるとは思ってませんでした泣)
結果は大成功だったと言っていいでしょう。
ちなみに、冷房は室温よりも湿度を下げることを意識していたので、冷房費は若干高めとなっています。(雨の日は再熱除湿を積極的に使用)
湿度を意識しなければ、もう5,000円~10,000円くらいは安くなると思います。
住みながら心がけていることは、「快適に暮らす」ことです。
1年目は光熱費よりも快適性を優先させて、どれくらいエネルギーを使うかを見てみて、2年目はその結果を踏まえて工夫できるところは改善していこうと思います。
湿度50%はやりすぎた感があるので、来年はもう少し高めでもいいかなと思います。
梅雨時期の「暑くはないけど湿度は高い」時は、エアコンの冷房運転で湿度を下げようとすると室温が下がりすぎてしまうため快適性は得られません。
そんな時に有効なのがエアコンの「再熱除湿」運転です。
再熱除湿は読んで字のごとく、一度冷やして除湿した空気を再び温めて送風する除湿方法です。
再熱除湿であれば除湿するためにエアコン内で冷やされた空気は室温と同じくらいに温められて出てくるので、室温を下げることなく湿度だけを下げることが可能となります。
そのため梅雨の時期でも高温低湿の極めて快適な室内環境をつくることができます。
しかしながら、この再熱除湿機能がついたエアコンは減少の一途をたどっていて、再熱除湿は絶滅の危機に瀕しています。
その理由は、一度冷やした空気を再度温めることが省エネに反しているとエアコンメーカー側が考えているからです。
確かに冷房運転よりも再熱除湿運転の方が消費電力は多くなりますが(拙宅の場合、冷房運転の2~3割増しくらい)、得られる快適性には大いに価値があると思います。
再熱除湿によって得られるメリットは、かかるコスト以上あると個人的には思いますので、エアコンを選ぶ時は再熱除湿ができるエアコンをおすすめします。
ちなみに、私は二酸化炭素の排出量の増加だけが地球温暖化の原因であるということには懐疑的なので、省エネよりも快適性を優先させています。
極端な話、地球温暖化を防ぐために熱中症やヒートショックで死ぬことを選択する人はいませんよね?(この辺の話はややこしいのでまた別の機会に・・・)
夏に湿度が低い暮らしをしていて気づいたことですが、湿度が低いと室内で発生するニオイも感じにくくなります。
不思議に思っていましたが、これは科学的な根拠があって、ニオイ分子は空気中に水蒸気が多いとが溜まりやすく、温度が高いほど揮発性が高くなる性質があるため、高温多湿となる夏の時期は室内で発生するニオイも強くなります。
湿度をおさえることで、図らずもニオイもおさえていたわけですね。
まだまだ暑い日が続きますが、温度だけでなく湿度も意識して快適な夏をお過ごしください。
前回の続きで、エアコンで湿度を下げる方法について。
まずエアコン冷房の仕組みですが、ヒートポンプによって冷やされた熱交換器に室内の空気を通過させることで空気を冷やし、それをファンによって拡散することで室温が下がります。
この時に熱交換器の中で冷やされた空気は、露点温度よりも下がるためエアコン内で結露して空気中の水分が取り除かれます。
冷房運転は室温を下げると同時に除湿も行っているわけですね。
しかし、室内が設定温度まで下がりきるとそれ以上室温を下げる必要がなくなるため、熱交換器が冷えなくなり(サーモオフ)エアコン内で結露が起こらなくなるので湿度も下がらなくなります。
冷房していて室温はちょうどよいのに湿度が高く蒸し暑く感じてしまう時は、このようなエアコン冷房の原理によります。
逆に湿度を下げることを優先すると、室温が下がりすぎて寒くなってしまうこともよくあります。
このことから、快適に湿度を下げるには、室温が下がりすぎない程度に熱交換器が冷え続ける状態にできればよいことがわかります。
そのためのポイントは
・冷房可能な範囲でできるだけ容量の小さいエアコンで冷房する
・家の中でもっとも暑くなりやすい場所にエアコンを設置する
・少し低めの設定温度(拙宅の場合24~26℃)で風量は最弱で運転する
こうすることでエアコンがサーモオフになりにくくなり、室温は下がりすぎずに湿度を下げることができるようになります。
家の気密・断熱性能や冷房面積に対してエアコンの容量が小さすぎると、単純に能力不足で冷房しきれないこともあるので、家の断熱性能などをしっかり把握した上でエアコンを選定することが重要です。
また、せっかく湿度を下げても外から湿度の高い空気が入ってきていたら意味がないので、家中のすべての窓(トイレやお風呂などの非居室も)を閉じて、24時間換気以外の不要な換気扇も止めて冷房する方がよいです。
以上の方法は、外の温度が室内より高い場合に有効ですが、梅雨時期のように温度はそこまで高くないけど湿度は高くジメジメする時は湿度を下げにくくなります。
そんな時に快適に湿度を下げる方法は・・・次回に続きます。
しばらくお休みしていたブログを再開したいと思います。
更新頻度は仕事量(と精神状態)に左右されると思いますが、よろしければお付き合いいただけると幸いです。
・・・
さて、昨年の12月より自分で設計した家に住み始めて半年以上が過ぎましたが、このブログで高性能住宅(UA値0.31、C値0.2)の住み心地についてもレポートしていければと思います。
今回は湿度について。
拙宅の冷房計画は、階段を上がりきった2階のホールにエアコンを1台設置して、この1台のみを24時間連続運転して家中を冷房しています。
エアコンは一番容量の小さい6畳用エアコンです。
家の延べ床面積は吹抜けを入れて35坪程度なので、実に70畳の面積を10分の1以下の容量のエアコンで冷房していることになりますが、各所の温湿度計を見てみると
1階リビング 温度26.9℃ 湿度49%
2階寝室 温度26.0度 湿度49%
2階子供部屋 温度25.9度 湿度48%
1階トイレ 温度26.0 湿度51%
このようにしっかり家中冷房できています。
畳数だけ比べると魔法の様ですが、からくりは簡単で、畳数ではなく家の断熱・気密性能と冷房能力を鑑みてエアコンを選定しているから。
基本的に、家の断熱・気密性能が高ければ高いほどエアコンの容量は小さくすることができます。
今回注目いただきたい湿度は、家中をほぼ均一に50%程度の低湿度に保てているのが上の写真でわかります。
しかしながら、高温多湿となる日本の夏にこの空気を作り出すにはいろいろとテクニックが必要です。
そもそも低湿度にしている理由は、温度よりも湿度を下げた方が快適性が高いから。
温度27℃湿度70%の空気より、温度27℃湿度50%の空気の方がサラッとしているのは感覚的にわかるかと思いますが、このサラッと感がとても快適なのです。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり体温調整ができないため、熱中症のリスクもあがります。
それに夏に湿度が低ければカビが生えるリスクが大幅に減るため、お風呂掃除など家の手入れが楽になるというメリットもあります。
なので、夏は湿度が快適な住環境をつくる上でとても重要となります。
次回は湿度を下げるテクニックをご紹介できればと思います。
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